「加藤諦三さんはどんな人で、どの本がおすすめ?」
「最近モヤモヤとした想いがあるけど、ずばっと言葉にしてくれる本を読みたい」
加藤諦三さんは、早稲田大学名誉教授を務める作家・社会学者・心理学者です。1972年からニッポン放送のラジオ番組『テレフォン人生相談』のパーソナリティも務めており、これまでに受けた相談件数は約1万件にも上ります。
著作には『自分に気づく心理学』『心の休ませ方』『「大人になりきれない人」の心理』などがあり、主に人間の心の奥にある悩みや葛藤を解説しています。
言葉は時に辛辣ですが、非常に端的で分かりやすく、人生や人間関係などのモヤモヤが晴れるような気づきを与えてくれます。
そこで本記事では実際に読んだ本の中から、心理学者・加藤諦三さんの人気おすすめ本をランキング形式で紹介していきます。本記事を読めば、心の整理に役に立つような本に出会えるでしょう。
心理学者・加藤諦三の人気おすすめ本
- 【1位】『感情を出したほうが好かれる』加藤諦三
 - 【2位】『なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか』加藤諦三
 
【1位】『感情を出したほうが好かれる』加藤諦三

概要・あらすじ
「ノー」と言っても好かれる人がいるのに、「イエス」と言って好かれない人がいる。なぜ相手の気持ちにばかり気を取られて自分らしく生きられないのか。もっと自信を持ち、自分の人生を生きたい。そんな人に好かれる人と好かれない人の違いなどを解説した一冊。
感想・おすすめポイント
- 自分を出すことは「リラックスすること」
 - 人は明るい性格になることでしか幸せになれない
 - 「かたち」と「こころ」を理解できない人は燃え尽きる
 
本書は好かれる人と好かれない人の違いを解説した一冊で、テーマは「ノーと言っても好かれる人がいる。しかしイエスと言っても好かれない人がいる。なぜか?」。
誰しもが好かれたい、愛されたいと思う中で、筆者は「こうであるべき自分」は今すぐに捨てたほうがいいと述べています。ありのままの自分のほうが好かれることを前提に、自分を出すことは衝動的になることではなくリラックスすること。別の言い方をすれば、防衛的な性格になっていないことで、相手に好かれようと特別なことをするわけでもない。
リラックスして相手と話しているときは相手と心が触れ合っており、決して相手を無視しているわけではない。相手を意識していないことと相手の人格を無視することは違ううえに、好かれるための努力で嫌われる人が多いと指摘しています。
また人は明るい性格でしか幸せになれないと述べられており、明るい性格は素直な性格という意味。何もむやみに笑ったり大きな声を出したりすることではなく、その人らしい明るさという意味とのこと。明るい性格になるには悪口・愚痴集団から抜けることが大切で、本書にはアメリカの鉄鋼王A・カーネギーの素直さに関する話も紹介されています。
さらに「かたち」と「こころ」に関する話も印象的で、「かたち」だけで「こころ」を無視する人は人間関係で悲劇が起きる可能性がある。
「かたち」だけの人は「かたち」だけを与えることで人を惹きつけ、心の触れ合いがないまま人と接する。そのため人間関係をうまく努力しようとするわりに、周りに誠意のある人が集まらず、むしろ誠意のない人が集まると指摘しています。具体例として、本書には「かたち」と「こころ」を理解できない、ある有名人が結果的に神経症になってしまった話も取り上げられています。
ちなみに親子関係も同様で、ある親は普通の人以上に生真面目に必死に努力したにもかかわらず、子どもが次々と問題を起こし、その親は自殺未遂まで起こすほどに。一方で、ある親はそれほどつらい努力をしていないのに、子どもは全員まともに成長し、幸せな一家を築いたといったエピソードが紹介されています。
全体を通して、好かれる人は大それたことをしているわけでなく、ありのままの自分を出しているだけという点が印象的。また「かたち」と「こころ」の話は当たり前のようで、自分は少し勘違いしていた部分があったかもと気づかされますね。
本書には他にも相手に尽くすことよりも大切なことや「こころ」のない人が言葉に騙されやすい理由、愛されることと気に入られることの違いなどが紹介されています。
基本情報
| 著者 | 加藤諦三(かとうたいぞう) | 
| タイトル | 感情を出したほうが好かれる | 
| 出版社 | 三笠書房 | 
| 発売日 | 2011/1/20 | 
| ページ数 | 162ページ | 
| ジャンル | ノンフィクション | 
| 受賞・候補歴 | – | 
| メディアミックス | – | 
| おすすめ度 | ★★★★☆(SSランク) | 
| 楽天 | https://a.r10.to/hk9BUY | 
| Amazon | https://amzn.to/47ZAza3 | 
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【2位】『なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか』加藤諦三

概要・あらすじ
一見いい人なのに、自分にしか興味がない、わがまま、不幸自慢、人の話を聞けない。それらはすべてナルシシストの症状。ナルシシストであればあるほど、現実に傷つきやすくなる。ナルシシズムから解放されれば、人を憎んだり、責めたり、恨んだりしないで、いつも生きていける。人の言動に過敏に反応して苦しむこともない。ナルシシストの心理などを解説した一冊。
感想・おすすめポイント
- 心の底にあるのは「孤独&恐怖」
 - ナルシシズムは「賞賛依存症」
 - 解消方法は「好きなことを見つける」
 
本書は、ナルシシストの心理やナルシシズムの解消方法などを解説した一冊。そもそもナルシシストとは人が自分をどう見ているかを気にする目立ちたがり屋で、いつも誰も私の苦しみを分かってくれないと苦しんでいる。天国のように見える環境にいても不幸である、とのこと。
心の底にあるのは孤独と恐怖で、いつもビクビクして平常な気持ちを維持するのに精一杯。たとえ意識の上では高い自己評価でも、無意識では逆に空虚感に悩み、自己蔑視している。とにかく劣等感が深刻で、本当の自分がバレないかとビクビクしている。表面上は自己陶酔しながらも、その心の本質は劣等感だと指摘しています。
自分自身であろうとすること、別の言い方をすれば、幸せになることの最大の障害はナルシシズムで、ナルシシズムとは賞賛依存症。ナルシシストにとって、自己の存在証明は他者の賞賛。したがって批判されることは自己の存在証明を否定されることで、その怒りと落ち込みは常人には想像を絶するものがあるといいます。
人間は生まれて以来、成長欲求と退行欲求の葛藤の中で生きている。成長欲求が勝った者は幸せになり、退行欲求が勝った者は不幸になる。ナルシシズムは成長の敵、つまり幸せの敵とまで述べられています。
ナルシシズムを解消する方法は意外と単純で、「苦しい!」と訴えるよりも、自分のナルシシズムに気がつき、他者のことを考える。ナルシシストは好きなものがない、好きな人がいないのも重要な特徴で、自己陶酔しているから対象(他者)への関心がないとのこと。
とにかく何でもいいから好きなことを見つけ、自己賞賛のためではなく、自分が興味あることにエネルギーを注ぐことが大切。まずは自分は自己執着が強いから対象への関心がないと認め、次に賞賛がなくても楽しく生きている人を観察して見習うといいと述べられています。
全体的に辛らつな語り口ながらも、ナルシシズムの問題が想像以上に重く根深いことを痛感します。虐待や離婚、事件、戦争などの背景にもナルシシズムが関係している可能性があり、人間関係や社会に与える影響は少なくないと感じられます。また単にナルシシズムの特徴を述べるだけでなく、原因や解消方法なども紹介されているのも嬉しいポイントですね。
なお、本書には他にも2種類のナルシシストに共通することや、ナルシシストと感情の激しい人の違い、ナルシシスト度を測る8つのチェックリスト、ナルシシズムと被害者意識&悲観主義の関係などが紹介されています。
基本情報
| 著者 | 加藤諦三(かとうたいぞう) | 
| タイトル | なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか――「ナルシシスト」という病 | 
| 出版社 | 三笠書房 | 
| 発売日 | 2016/9/7 | 
| ページ数 | 204ページ | 
| ジャンル | ノンフィクション | 
| 受賞・候補歴 | – | 
| メディアミックス | – | 
| おすすめ度 | ★★★★☆(SSランク) | 
| 楽天 | https://a.r10.to/hReklQ | 
| Amazon | https://amzn.to/4qdVtKR | 
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まとめ
加藤諦三さんはラジオ番組『テレフォン人生相談』のパーソナリティも務める心理学者で、人の心の奥にある悩みや葛藤などを言葉にしてくれます。
日常で感じる生きづらさや人間関係のモヤモヤなどを、時に鋭く解き明かしてくれるのが魅力です。
読了後は自分でも気づかなかった心理が整理されたり、相手の気持ちが理解できるようになったりして、すーっと心が晴れるような気分になるでしょう。
