「田中角栄はどんな人だったの?」
「田中角栄の仕事論とか人生論を知りたい」
「コンピュータ付きブルドーザー」「闇将軍」など、数々の異名を持つ政治家・田中角栄。小学校卒という学歴から、わずか54歳で内閣総理大臣にまで上り詰めた生涯に、一体どんな人だったのかと興味を持った人もいるのではないでしょうか。
最盛期には総勢141人も誇った最大派閥・田中派を率い、地方開発や交通インフラ整備などを推進した日本列島改造論を掲げ、そして政界を揺るがせたロッキード事件※によって失脚。
※アメリカの航空機製造大手・ロッキード社による世界的な汚職事件
そんな激動すぎる人生を歩んだ田中角栄を扱った本を読むと、政治家としての手腕だけでなく、人を惹きつける魅力や生き方の哲学なども垣間見られます。
そこで本記事では実際に読んだ本の中から、政治家・田中角栄の人気おすすめ本をランキング形式で紹介していきます。本記事を読めば、どんな内容が書かれた本なのかが分かるので、ぜひ参考にしてみてください。
政治家・田中角栄の人気おすすめ本
- 【1位】『田中角栄名言集 仕事と人生の極意』小林吉弥
- 【2位】『田中角栄 頂点をきわめた男の物語』早坂茂三
【1位】『田中角栄名言集 仕事と人生の極意』小林吉弥

概要・あらすじ
多くの人に影響を与えたといわれる大物政治家・田中角栄。豊かな発想力や類いまれな決断力&実行力、あらゆる人を魅了した人心掌握術など、田中角栄の凄さを伝える名言を、人間味溢れるエピソードとともに紹介した一冊。
感想・おすすめポイント
- 最大の気配りは「相手と全力で向き合うこと」
- 部下の人事に関するポイントは「損失補填」
- 真理は常に中間にあり
本書では、大物政治家・田中角栄の凄さが分かる名言を人間味溢れるエピソードとともに紹介しています。ただ単に政治家としての功績を並べるだけでなく、どのように人と接し、どんな価値観を持ち、どう行動してきたのかが具体的に分かる一冊です。
本書を読んで印象に残ったのが人への気配りで、田中角栄は演説やスピーチなどよりも気配りの天才かもしれないと感じられます。本書によると、彼は若手議員によくこう言っていたそうです。
「いいか、何事も相手に対して手を抜くな。誠心誠意、全力投球で向き合うことだ。それが最大の気配りということになる。真の信頼関係は、そうした中から生まれる」
エピソードでいうと、他人にお金を借りる人にでさえ「これをあんたにやるんだ」ではなく、あくまで「もらっていただく」という態度で渡せと指示していたそうです。もちろん、お金の世話になる相手の気持ちを汲んでの行為です。
部下の人事に関する話も印象的で、田中派の中でもなかなかポストに就けないできた者もいたそうです。ただ、自分の内閣になった際は取り残された部下の損失補填に精を出し、必ずそれなりのポストを与えていたようです。ポストをもらえれば、そうした議員は地元に帰っても選挙民に顔が立ちます。
こうしたことから、田中派の中には「オヤジ(田中)さんのためなら火の中にも入るし、鉄砲玉にもなる」という議員がごまんといたようです。ちなみに本書には、名前はフルネームで覚えたことや葬儀を重視したことなどの話も取り上げられています。
また「真理は常に中間にあり」という言葉も印象深く、田中角栄は次のように言っていたそうです。
「敵と味方ばかりではない。その間にある中間地帯(グレーゾーン)が一番広い。そこを取り込めなくてどうする」
あらゆる組織には自分を支持してくれる人もいれば、もはや何でも反対派という人もいる。その間に利あれば付くし損ならば離れるという日和見※の人もいて、この層が「中間地帯(グレーゾーン)」とのこと。この中間地帯が動くと世論となり、支持の幅を広げられると考えていたようです。
※ある定まった考えを持たず、状況を見て有利な側に付こうとする考え
全体を通して、田中角栄は叩き上げの人生を送ってきたからか、人の心の痛みや移ろいなどを敏感に感じ取る力を持っていたのだろうと感じられます。また単純に読みものとして面白いうえに人への接し方やリーダーシップ、部下の育成などにも参考になります。
なお、他には田中角栄もびっくりした圧巻の処世名人なども紹介されていて、田中角栄以外の凄い人たちの処世術も学べます。
基本情報
著者 | 小林吉弥(こばやしきちや) |
タイトル | 田中角栄名言集 仕事と人生の極意 |
出版社 | 幻冬舎 |
発売日 | 2023/1/20 |
ページ数 | 190ページ |
ジャンル | ノンフィクション |
受賞・候補歴 | – |
おすすめ度 | ★★★★☆(SSランク) |
楽天 | https://a.r10.to/hgPJef |
Amazon | https://amzn.to/3KzJSFo |
【2位】『田中角栄 頂点をきわめた男の物語』早坂茂三

概要・あらすじ
なぜ小学校卒の田中角栄が54歳で首相になれたのか。なぜ秀才官僚は田中角栄に心服したのか。田中角栄の最大・最強の人脈はどのように作られたのか。新聞社の政治部記者時代に田中角栄と出会い、それから23年間、敏腕秘書として勇名を馳せた著者が、政治からプライベートまで天才政治家の生の姿を描いた一冊。
感想・おすすめポイント
- 並外れた勉強家
- 頭の回転の速さを解くカギは「バセドー氏病」
- 高級料亭が苦手(薄味が口に合わない)
本書は約23年間秘書を務めた著者が天才政治家・田中角栄の姿を描いた一冊で、長年近くで仕えたからこそ分かる人間味溢れる一面や知られざる素顔などが綴られています。
特に印象に残ったのは、田中角栄の尋常ではない勉強熱心さ。彼は夜9時に就寝し、夜中の12時頃に起床。そこから約2時間、役所から届いた資料や数字、読みかけの本などを読む。あるいは大事な手紙を書いたり、メモを整理したりする。
それから国会便覧に目を通したり、国土地理院が発行した5万分の1の地図を広げ、各選挙区の地勢や状況を頭に入れたりする。軽く一杯飲んでから床につき、朝6時には起き出して新聞を読む。
こうした生活を日々送っていたことなどから、実際に驚くほどに幅広い知識を持っており、特に法律は非常に詳しかったようです。
また頭の回転の速さを解くカギはバセドー氏病にあり、バセドー氏病の特徴や主な症状は以下の通りです。
特徴 | 甲状腺ホルモンが過剰に分泌される「甲状腺機能亢進症」の一種で、自己免疫の異常によって起こる病気※1。 過剰なホルモン分泌により身体の新陳代謝が異常に活発になり、ホルモンバランスが崩れることで、全身の機能が常にフル回転しているような状態になる※2。 |
主な症状※3 | ・動悸・息切れ ・発汗・暑がり ・体重減少 ・手の震え ・イライラ・不安・不眠 ・眼球突出(目が出てくる) |
※1 参考:大阪グランドクリニック
※2 参考:プラスウェルネス
※3 参考:大阪グランドクリニック
本書によると、普通の人が1時間に頭が100回ほど回転するとすれば、田中角栄はバセドー氏病の影響により1時間に10,000回も回る。全神経と脳のあらゆるヒダを総動員し、脳細胞のすべてをフル稼働させる。だからこそ、彼は判断も仕事も早いと述べられています。
彼の優秀さを示すエピソード以外にプライベートな話も興味深く、本当は高級料亭が苦手だったそうです。東京の有名な料亭では飲むだけで、ほとんど食べない。理由は薄味が口に合わないからで、北陸などの塩からい味で育った人は食べた気がしない。なので、帰宅後に奥さんのしょっぱいチャーハンを食べていたそうです。
全体を通して、仕事だけでなくプライベートな話も紹介されており、田中角栄の人柄や生活の一面などが伝わってきます。ただ単に政治家としての手腕や功績を描くだけでなく、プライベートを含めた一人の人間としての田中角栄が感じられますね。
基本情報
著者 | 早坂茂三(はやさかしげぞう) |
タイトル | 田中角栄 頂点をきわめた男の物語 オヤジとわたし |
出版社 | PHP研究所 |
発売日 | 2016/6/1 |
ページ数 | 207ページ |
ジャンル | ノンフィクション |
受賞・候補歴 | – |
おすすめ度 | ★★☆☆☆(Aランク) |
楽天 | https://a.r10.to/hgDxuD |
Amazon | https://amzn.to/42CICYj |
まとめ
田中角栄は小学校卒から内閣総理大臣まで上り詰めた稀代の政治家で、多くの人を魅了した人柄や考え方なども注目されています。
彼の本を読むと政治家としての凄さはもちろん、人との向き合い方や逆境を乗り越える力強さなども感じられます。
たとえ政治に興味がなかったとしても、彼の考えや価値観に触れることで、人材育成やリーダーシップ、組織をまとめる力など、現代社会を生きるうえでのヒントを得られるでしょう。