「パーソナリティ障害にはどんな種類がある?」
「各パーソナリティ障害には、どんな特徴や傾向があるの?」
そんな疑問を持つ人におすすめしたいのが本書で、主に10タイプに分類されるパーソナリティ障害の特徴・背景や接し方のコツなどが解説されています。
特に初心者にも分かりやすいのが魅力で、全体的に文章が読みやすいうえに構成が分かりやすく、パーソナリティ障害に詳しくなくとも理解しやすいです。本書を読むことで、そもそもパーソナリティ障害とは何かから、各タイプの特徴や克服ポイントまで体系的に学べます。
そこで本記事では、実際に精神科医・岡田尊司さんの『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか』を読んだ感想を紹介していきます。本記事を読めば、どんな内容が書かれているのかが分かるので、ぜひチェックしてください。
基本情報

著者 | 岡田尊司(おかだたかし) |
タイトル | パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか |
出版社 | PHP研究所 |
発売日 | 2004/6/16 |
ページ数 | 298ページ |
ジャンル | ノンフィクション |
受賞・候補歴 | – |
おすすめ度 | ★★★★☆(SSランク) |
楽天 | https://a.r10.to/hk7gDU |
Amazon | https://amzn.to/4n1dlp8 |
概要・あらすじ
現代人の多くが抱えているといわれるパーソナリティ障害(人格障害)。パーソナリティ障害とは、偏った考え方や行動パターンのために家庭や社会生活に支障をきたした状態。パーソナリティ障害とは何か、なぜ生まれるのかから、主に10タイプに分類されるパーソナリティ障害の①特徴と背景②接し方のコツ③克服のポイントまで解説した一冊。
目次
- 第一部 パーソナリティ障害の本質
- 第一章 パーソナリティ障害とは何か
- 第二章 パーソナリティ障害はなぜ生まれるのか
- 第二部 パーソナリティ障害のタイプと対処
- 第三章 愛を貪る人々 境界性パーソナリティ障害
- 第四章 賞賛だけがほしい人々 自己愛性パーソナリティ障害
- 第五章 主人公を演じる人々 演技性パーソナリティ障害
- 第六章 悪を生き甲斐にする人々 反社会性パーソナリティ障害
- 第七章 信じられない人々 妄想性パーソナリティ障害
- 第八章 頭の中で生きている人々 失調型パーソナリティ障害
- 第九章 親密な関係を求めない人々 シゾイドパーソナリティ障害
- 第十章 傷つきを恐れる人々 回避性パーソナリティ障害
- 第十一章 一人では生きていけない人々 依存性パーソナリティ障害
- 第十二章 義務感の強すぎる人々 強迫性パーソナリティ障害
感想・おすすめポイント
- 主に10タイプに分けられる
- パーソナリティ障害の大きな原因は「親(不在も含む)」
- 境界性パーソナリティ障害は「両極端の間をめまぐるしく変動する」
本書は主に10タイプに分けられるパーソナリティ障害を解説した一冊で、各タイプの章は①特徴と背景②接し方のコツ③克服のポイントで構成されています。とにかく初心者にも分かりやすいのが魅力で、まったく詳しくなくともパーソナリティ障害について体系的に学べます。
そもそもパーソナリティ障害とは偏った考え方や行動パターンにより、家庭・社会生活に支障をきたした状態。主に10タイプに分類され、それぞれの特徴・傾向は以下の通りです。
パーソナリティ障害 | 特徴・傾向(一部) |
---|---|
境界性パーソナリティ障害※1 | ・人に見捨てられることを強く恐れ、不安を抱いている ・対人関係の変動が激しく、コミュニケーションが安定しない ・気分や感情がめまぐるしく変わり、周囲の人々がついてこられない |
自己愛性パーソナリティ障害※2 | ・自分は特別な存在であり、他人よりも優れていると考える ・他人からの過剰な賞賛を常に求め、それが得られないと不機嫌になったり怒ったりする ・他人の感情やニーズを理解したり、寄り添ったりすることができない(しようとしない) |
演技性パーソナリティ障害※3 | ・自分が話題の中心になっていないと気が済まない ・注目を集めるために泣いたり、周囲を非難したりする |
反社会性パーソナリティ障害※4 | ・自分の行為により、他人がどう思うか、どういう状況になるかを適切に理解できず、平気で傷つけたり騙したりする ・将来の計画を立てられず、衝動的に行動する |
妄想性パーソナリティ障害※5 | ・他人に利用されてしまう気がして、仲が良くても個人の情報を教えようとしない ・ふとした言葉に自分をけなしたり脅したりする意味があると考える |
失調型パーソナリティ障害※6 | ・偶然の出来事に対して誤った解釈をして、普通でない意味付けをする ・奇妙な信念を持ち、行動に影響を及ぼしている ・誰もいないのに誰かがいるように感じるなど、普通ではない知覚体験がある |
シゾイドパーソナリティ障害※7 | ・他人との関わりを好まない ・一人で楽しむ趣味ばかりを持つ ・他人との性体験に興味がない |
回避性パーソナリティ障害※8 | ・他人に対する批判や嫌悪を強く恐れる ・新しい人間関係の構築を極度に避ける・人前での自己表現を避ける |
依存性パーソナリティ障害※9 | ・些細なことも決断できない ・自分が依存している人の意見に反対できない ・不快な仕事や不条理な要求を飲む |
強迫性パーソナリティ障害※10 | ・秩序や完璧主義にとらわれる ・他人に仕事を任せられない ・自分のやり方を他人にも不条理に押しつける |
※1 参考:いちメンタルクリニック
※2 参考:新宿よりそいメンタルクリニック
※3 参考:ブレインクリニック
※4 参考:ブレインクリニック
※5 参考:ブレインクリニック
※6 参考:ブレインクリニック
※7 参考:ブレインクリニック
※8 参考:大阪メンタルクリニック
※9 参考:ブレインクリニック
※10 参考:ブレインクリニック
本書によると、パーソナリティ障害の大きな原因は親(親の不在も含む)で、親が子どもに与えてやれる最も大切なものは自分を大切にする能力。この能力をたっぷり与えられなかった子どもは、さまざまな生きづらさを抱えて生きることになると述べられています。
またさまざまなパーソナリティ障害がある中で、近年急速に市民権を得ているのが境界性パーソナリティ障害。一言でいえば、両極端の間をめまぐるしく変動するのが特徴で、特に気分と対人関係において顕著に見られるとのこと。
不安定性の根底にあるのは深い愛情飢餓感と依存対象に見捨てられまいとする心理で、接し方のコツとしては変わらないことが大切。いいときも悪いときも、できるだけ一定の態度で接することが支えになると述べられています。ちなみに本書にはやりがちな最悪の接し方なども取り上げられています。
全体を通して、パーソナリティ障害に詳しくなくとも理解しやすく、有名人なども含めた具体例が豊富に紹介されているのも嬉しいポイント。またパーソナリティ障害の人への理解を深めるだけでなく、自分の性格的な特徴・傾向を知るうえでも参考になります。
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まとめ
本書ではそもそもパーソナリティ障害とは何かから、各タイプの特徴や接し方のコツ、克服ポイントまで解説されています。
全体的に文章が読みやすく、非常に分かりやすい構成になっているため、初めてパーソナリティ障害に関する本を読む人にもぴったりです。
本書を読むとパーソナリティ障害への理解が深まり、これまで抱えていた人間関係のもやもやが少し晴れるような部分もあるため、少しでも気になるなら読んでみてはいかがでしょうか。
今回取り上げた本『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか』岡田尊司

著者 | 岡田尊司(おかだたかし) |
タイトル | パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか |
出版社 | PHP研究所 |
発売日 | 2004/6/16 |
ページ数 | 298ページ |
ジャンル | ノンフィクション |
受賞・候補歴 | – |
おすすめ度 | ★★★★☆(SSランク) |
楽天 | https://a.r10.to/hk7gDU |
Amazon | https://amzn.to/4n1dlp8 |