【感想】『「ストーカー」は何を考えているか』小早川明子【事例が多くて興味深い】

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「ストーキングする人は、どんな心理をしているの?」
「たくさんの事例をもとに、ストーカーの特徴や原因・背景を知りたい」

そんな人にぴったりなのが本書で、ストーカーの特徴や事例、対策などが紹介されています

著者は500人ものストーカー加害者と向き合い、カウンセリングなども行ってきた経験を持ち、その実績をもとにストーカーの思考・行動パターンや実践的な対応などを解説しています。

特に事例が豊富に紹介されているのが魅力で、単なる分析や理論にとどまらず、リアルな加害者像が伝わってくるでしょう。

そこで本記事では、実際に小早川明子さんの『「ストーカー」は何を考えているか』を読んだ感想を紹介していきます。本記事を読めば、どんな内容が書かれているのかが分かるので、ぜひ参考にしてみてください。

※本記事に掲載している内容は、記事執筆時点の情報に基づいています。最新情報は各公式サイトにてご確認ください

基本情報

「ストーカー」は何を考えているか
出典:Amazon
著者小早川明子(こばやかわあきこ)
タイトル「ストーカー」は何を考えているか
出版社新潮社
発売日2014/4/17
ページ数164ページ
ジャンルノンフィクション
受賞・候補歴
おすすめ度★★★★☆(SSランク)
楽天https://a.r10.to/hkzhan
Amazonhttps://amzn.to/3Kq1LGD

概要・あらすじ

年間20,000件前後もトラブルが起きているストーカー(ストーキング)。500人ものストーキング加害者と向き合い、カウンセリングなどを行ってきた著者が、彼らの思考・行動パターンや実践的な対策などを豊富な事例とともに解説した一冊。

感想・おすすめポイント

  • 加害者の特徴
  • 事例が多くて興味深い
  • 相談してはいけない相手

本書は主にストーカーの特徴や心理を解説した一冊で、具体的な対策や警察の対応が後手に回る理由なども紹介されています。

警察によるストーカーの認知件数は年間20,000件(約57件/日)を超える年もあり、ストーキングを行う加害者には以下の特徴があるといいます。

  1. 確固たる心理的動機があり、正当性を妄想的に信じ込んでいる
  2. 相手を一方的に追いつめ、迷惑をかけて苦しめていることを自覚しながらも、相手に好意を持たれる望みをかけている
  3. その望みが絶たれたとき、心のバランスは憎しみに反転し、自殺または相手を殺害することもある

ストーキングの当事者たちは加害・被害意識が曖昧で、特に加害者は歯止めなく1~3の階段を駆け上がりやすい。ストーカーは相手に対して「疑問」「疑念」「要求」を抱えていて、その回答を相手から直接得ようとして「追及」している。ストーカーが渇望しているのは、相手からの個別で具体的な回答(=特殊解)であるようです。

具体的なケースで見ると、本書には以下のような事例が取り上げられています。

  • 「一流企業=成功者」と思い込む女性(30代後半)
  • 「仕事の成功=恋愛の成功」と思い込む男性(20代)
  • 学内DVで強姦して妊娠させた男性学生
  • メールによる執拗な行動確認を行う女性
  • 相手を監禁する女性
  • 相手の娘に嫉妬する女性
  • 不倫相手(大学教師)とその妻を標的にした女子大学院生

他にも親までストーキングに加担した事例や「復讐屋」が絡んだ事例、別れ話の最中に包丁を持ち出し、相手に無理やり握らせ、自らの腹部に突き刺した事例など、一般的にイメージするようなストーカー事例ではないケースも紹介されています

ストーキング以外にエネルギーを向けることで驚くほどに変わった女性の話も印象的で、ある意味で非常に高いポテンシャルを持つ人だとも感じられます。

またストーカー被害を受けた場合、心配性や血気盛んな人、新しい恋人に相談するのはNGとのこと。絶対に助け舟を出してはいけないのは新しい恋人(特にボーイフレンド)で、ストーカーの嫉妬心を猛烈にかき立ててしまうから。どんなに挑発されても、新しい恋人だけは相手と向き合わないことが大切だと強調しています。

全体を通して、とにかく事例が豊富に紹介されていて興味深く、こういう事例もあるのかと驚かされます。殺人や傷害などに至るケースは全体の1.7%に過ぎないようですが、ちょっとした一言からストーカーに発展したケースもあり、誰もが当事者になりうる問題だと感じられます。

なお、本書には他にも破恋型ストーカーの特徴や高齢男性によるストーキングの特徴、別れの意思を伝える際のポイント、女性ストーカーの特徴、ストーカーの危険度の見極め方、助言者(相談相手)として知っておくべきことなどが紹介されています。

まとめ

本書は豊富な事例を通して、ストーカーの特徴や心理、対策などを解説した一冊です。

数多くのケーススタディにより、加害者像がどのように考え、行動をエスカレートさせていくのかが鮮明に伝わってきます。

殺人などに至るケースは稀であるものの、自分が加害・被害に関わる可能性も含め、ストーカー問題を理解するうえで非常に参考になるでしょう。

今回取り上げた本『「ストーカー」は何を考えているか』小早川明子

「ストーカー」は何を考えているか
出典:Amazon
著者小早川明子(こばやかわあきこ)
タイトル「ストーカー」は何を考えているか
出版社新潮社
発売日2014/4/17
ページ数164ページ
ジャンルノンフィクション
受賞・候補歴
おすすめ度★★★★☆(SSランク)
楽天https://a.r10.to/hkzhan
Amazonhttps://amzn.to/3Kq1LGD