「依存系の恋愛小説で、おすすめってある?」
「甘いだけじゃなく、執着や依存まで描いた恋愛小説を読みたい」
恋にのめり込み、相手なしではいられなくなっていく登場人物に、思わず自分を重ねたことはありませんか。とはいえ、依存を描いた恋愛小説を読みたくても、何から手に取ればよいか迷ってしまいますよね。
依存を描いた恋愛小説には、妻や愛人がいる人気作家から離れられなくなっていく女性の物語から、恋人の優しさに寄りかかる売れない劇作家の恋まで、さまざまな物語があります。
相手にしがみつく登場人物の姿に触れると、好きと依存の境目を見つめ直すきっかけになります。ただ、物語の重さや読後感が自分に合うかどうかは、評判だけでは見えてきませんよね。
そこで本記事では実際に読んだ本の中から、依存を描いた恋愛小説をランキング形式で紹介していきます(ネタバレなし)。本記事を読めば、今の自分に合う一冊を選びやすくなるでしょう。
特に恋にのめり込んだ経験がある人や、甘いだけではない恋愛小説を読みたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
依存を描いた人気おすすめ恋愛小説
- 【1位】『恋愛中毒』山本文緒
- 【2位】『劇場』又吉直樹
【1位】『恋愛中毒』山本文緒
概要・あらすじ
編集プロダクションで事務員として働く水無月(みなづき)は、職場の若い後輩にかつての自分の恋を語り始める。離婚を経験し、他人を愛しすぎないと心に決めていた水無月は翻訳の仕事を細々と続けながら、弁当屋で働いていた。そこで出会ったのが、テレビにも出演する人気作家・創路功二郎だった。強引で甘えたがりな創路に気に入られた水無月は彼の事務所で働くようになり、愛人の一人として関係を深めていく。しかし創路には妻がおり、他にも何人もの愛人がいた。恋愛感情の極端な一面を描いた長編小説。
感想・おすすめポイント
- 人を愛しすぎることの危うさが胸に迫る
- 淡々とした語りからにじみ出る執着が怖い
- 相手の気持ちを確かめずにはいられない姿が生々しい
本作は、離婚を経験した女性・水無月が、奔放な人気作家・創路と出会い、その関係に深く入り込んでいく長編小説です。物語は事務員として働く現在の水無月が職場の後輩に昔の出来事を打ち明ける形で進みます。翻訳の仕事だけでは暮らせなかった当時の水無月は弁当屋で働きながら、人と深く関わらないように日々を送っていました。
そんな水無月の前に現れた創路は調子がよく、周りの人を振り回してばかりいる男性でした。創路に気に入られた水無月はやがて彼の事務所で働くようになり、愛人の一人として関係を持ちます。固く閉ざしていたはずの水無月の心は少しずつ創路に傾いていきます。
しかし創路には妻がいるうえ、他にも何人もの愛人がいました。創路の事務所で水無月と一緒に働く女性も、その一人です。創路を取り巻く女性たちのことを知って胸の内をかき乱されながらも、水無月は数いる愛人の中で一番になろうと、無理を重ねるようになっていきます。
何といっても、水無月の想いがいつの間にか行きすぎたものに変わっていく過程が印象に残り、人を愛しすぎることの危うさが胸に迫ります。落ち着いた語り口から少しずつにじみ出る、相手を手放せない執着も怖さの一つです。相手の気持ちを確かめずにはいられない水無月の姿にも痛々しいほどのリアルさがあります。
甘い恋愛小説を期待して読むと、終盤で一気に暗転する展開や、読後に残る重さに戸惑うかもしれません。それでも恋をすれば誰の中にも生まれうる嫉妬や執着が丁寧に描かれ、どこか他人事とは思えない物語です。読み終えた後は、相手を大切に思うこととしがみつくことの違いが見えてくるでしょう。
基本情報
| 著者 | 山本文緒(やまもとふみお) |
| タイトル | 恋愛中毒 |
| 出版社 | KADOKAWA |
| 発売日 | 2002/6/25 |
| ページ数 | 416ページ |
| ジャンル | 恋愛 |
| 受賞・候補歴 | 【受賞】第20回吉川英治文学新人賞 |
| おすすめ度 | ★★☆☆☆(Aランク) |
| 楽天 | https://a.r10.to/h5kZpz |
| Amazon | https://link.amazon/B04C9XoyO |
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【2位】『劇場』又吉直樹
概要・あらすじ
高校卒業後に大阪から上京した永田(ながた)は、中学時代からの友人・野原(のはら)と劇団を旗揚げし、脚本と演出を手がけている。しかし公演は酷評続きで、劇団員にも見放され、思うようにいかない日々を送っていた。ある日、原宿の雑踏で、女優を目指して上京した大学生・沙希(さき)と出会った永田は、やがて恋人となった彼女の部屋で暮らしはじめる。沙希は永田の才能を信じて支え続けるが、永田は理想と現実の間でもがきながら、同世代の劇作家の活躍に焦りを募らせていく。夢を追う青年と恋人の不器用な恋を描いた一冊。
感想・おすすめポイント
- 身近な人の優しさに甘える怖さに気づかされる
- 夢と現実の間でもがく永田の弱さが人間くさい
- 永田を信じて支え続ける沙希の姿が切ない
本作は、売れない劇作家・永田が恋人・沙希に支えられながら思うようにいかない日々を生きていく恋愛小説です。大阪から上京した永田は中学時代からの友人・野原と劇団を立ち上げ、脚本と演出を担ってきました。しかし公演の評判は振るわず劇団員にも去られ、永田は孤独を深めていく一方でした。
そんなある日、永田は原宿の人混みの中で女優を目指して上京した大学生・沙希と出会い、必死に声をかけます。やがて恋人となった2人は沙希の部屋で一緒に暮らしはじめました。沙希は永田の才能を心から信じ、誰よりも近くで彼を支え続ける存在です。
その間にも同世代の劇作家が注目を集めていくのに対し、永田の劇団は評価されないままです。焦りや嫉妬を抱えた永田は沙希の明るさに救われながらも、自分の弱さと向き合えずにいました。夢を手放せない永田は、支えてくれる沙希の優しさにも次第に素直に応えられなくなっていきます。
特に印象に残ったのは沙希に寄りかかって意地を張る永田の姿で、身近な人の優しさに甘える怖さに気づかされます。他人の才能に嫉妬する永田の弱さも包み隠さず描かれ、自分を重ねる人もいるでしょう。また、そんな永田を支え続ける沙希のけなげさも本作の切なさを際立たせています。
人によっては、永田の自分本位な言動や冒頭の癖のある文体がとっつきにくく感じられるかもしれません。とはいえ、ユーモアを交えた何気ない会話は温かく、読み進めるほど2人の時間がいとおしく感じられるはずです。読み終えた後は、そばにいる人に伝えそびれている言葉がないか見つめ直すきっかけになるでしょう。
基本情報
| 著者 | 又吉直樹(またよしなおき) |
| タイトル | 劇場 |
| 出版社 | 新潮社 |
| 発売日 | 2019/8/28 |
| ページ数 | 256ページ |
| ジャンル | 恋愛 |
| 受賞・候補歴 | – |
| おすすめ度 | ★★☆☆☆(Aランク) |
| 楽天 | – |
| Amazon | – |
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まとめ
依存を描いた恋愛小説ならではなのが、人を好きになる気持ちが少しずつ行きすぎていく過程をじっくり追える点です。妻や愛人がいる相手から離れられなくなる女性の物語から、恋人の優しさに甘えてしまう青年の恋まで、依存の形も物語ごとに異なります。
静かな語りの中で不穏さが増していく物語もあれば、ユーモアを交えた会話が温かい物語もあり、読み味もさまざまです。登場人物に自分を重ねるうちに、相手を大切に思うこととしがみつくことの違いが見えてきます。読み終えた後は、身近な人との向き合い方をそっと見つめ直したくなるでしょう。
恋の暗い面にも踏み込んだ物語を読みたくなったときは、ぜひ気になる一冊から手に取ってみてください。


