「カスハラには、もううんざり…!」
「スタッフに暴言を吐く人とかは、どういう心理をしているの?」
そんな悩みや疑問に答えてくれるのが本書で、カスハラ(カスタマーハラスメント)の実態や心理構造などを解説しています。
なぜカスハラをするのか、どんな人がカスハラをしやすいのかなどが分かり、実際にカスハラを受けた経験がある人なら共感できる部分も多いでしょう。またカスハラへの対策も少し書かれているので、今後被害を防ぐためのヒントも得られるかもしれません。
そこで本記事では、実際に犯罪心理学者・桐生正幸さんの『カスハラの犯罪心理学』を読んだ感想を紹介していきます。本記事を読めば、どんな内容が書かれているのかなどが分かるので、ぜひ参考にしてみてください。
基本情報

著者 | 桐生正幸(きりうまさゆき) |
タイトル | カスハラの犯罪心理学 |
出版社 | 集英社 |
発売日 | 2023/6/7 |
ページ数 | 203ページ |
おすすめ度 | ★★☆☆☆(Aランク) |
楽天 | https://a.r10.to/hPLR7u |
Amazon | https://amzn.to/3ICvFaa |
概要・あらすじ
現代日本において、大きな社会問題と化しているカスタマーハラスメント(カスハラ)。従業員への悪質なクレームや物理的・精神的な嫌がらせ全般を指し、コロナ禍によって拍車がかかって被害が拡大している。そんなカスハラが生まれる構造を、豊富な調査実績をもとに分析し、その対策まで提案した一冊。
目次
- 序章 衝撃の実態
- 第1章 キレる”お客様”たち
- 第2章 カスハラの心理構造
- 第3章 “お客様”の正体
- 第4章 カスハラ対策の最前線
- 第5章 カスハラ防止法案という希望
- 終章 カスハラのない国へ
感想・おすすめポイント
- カスハラ加害者の5つのタイプ
- カスハラ加害者の傾向
- 具体的な言葉を選んで話す
本書はカスハラ(カスタマーハラスメント)の実態や心理構造、対策などを解説した一冊です。本書では簡単にいえば、カスハラは「常識外れの悪質クレーマーから過度なストレスが与えられる状態」と定義しています。
カスハラが多様化する中で、カスハラ加害者は5つのタイプに分けられ、それぞれに以下の特徴があるようです。
タイプ | 特徴 |
---|---|
思い込み・勘違いタイプ | 責任転嫁から、引っ込みがつかなくなる |
歪んだ正義感タイプ | アドバイスと称したハラスメント |
ストレス発散タイプ | 個人をターゲットにする |
攻撃的タイプ | 土下座や謝礼など過剰な要求 |
執着の強いタイプ | 精神状態からくるハラスメント |
タイプ別ではなく感情や話し方、性別などで分けると、カスハラ加害者の傾向は以下の通りとのこと。
傾向 | 特徴 |
---|---|
感情 | ・自尊感情が高い ・社会への不満が高い |
性格 | ・完全主義的な傾向が高い ・不寛容性が高い ・攻撃性が高い |
話し方・言葉遣い | ・大声・話し方が威圧的・一方的 ・身振り手振りが激しい |
男性 | ・大声で威圧的な話し方 ・不明瞭な理由で攻撃的な内容の話 |
女性 | ・一方的な話し方 ・謝罪を求める内容の話 |
年齢 | ・50代:大声で攻撃的 ・40代:揚げ足を取る ・30代:淡々と静か |
特に自尊感情(自尊心)と関係している点が印象的で、カスハラ加害経験がある人のほうが自尊感情が高い傾向にあるようです。
こうした点からも、カスハラ加害者には「お互い様」という意識が欠如した「俺様」タイプが多いのだろうと述べられています。ちなみに、自尊心の程度は「ローゼンバーグ自尊感情尺度」※により数値化できるそうです。
※1965年、自尊感情研究の第一人者モーリス・ローゼンバーグにより開発された尺度
カスハラ対策(対症療法)の一つとして挙げられているのが、具体的な言葉を選んで話すこと。例として、シャツを買いに来たお客様に、販売スタッフが「シャツ」「それ」「アイテム/衣類」などの言葉を選び、お客様の態度を見る研究が取り上げられています。
厳密にはカスハラ対策を目的とした実験ではありませんが、「男性用シャツ」といった具体的な言葉を使うだけで、お客様に耳を傾けている態度が伝わると述べられていますね。
全体を通して、正直そこまで大きな意外性は感じませんでしたが、カスハラのひどい実態や加害者の特徴・傾向などが分かります。またカスハラ被害者の心理や経営から見たリスクなども紹介されていて、カスハラ全般について知ることができる一冊といえるでしょう。
まとめ
本書は長年カスハラに関わってきた犯罪心理学者が解説した一冊で、近年社会問題化しているカスハラの実態や加害者心理などが紹介されています。
特にカスハラ加害者の特徴やタイプなどが分かりやすく整理されていて、「なぜそんな行動を取るのか」という疑問が解消されるでしょう。
具体的な対策に加え、カスハラが生む損失や悪影響なども紹介されているので、カスハラについて理解を深めたいなら参考となる一冊です。
今回取り上げた本『カスハラの犯罪心理学』桐生正幸(著)

著者 | 桐生正幸(きりうまさゆき) |
タイトル | カスハラの犯罪心理学 |
出版社 | 集英社インターナショナル |
発売日 | 2023/6/7 |
ページ数 | 203ページ |
おすすめ度 | ★★☆☆☆(Aランク) |
楽天 | https://a.r10.to/hPLR7u |
Amazon | https://amzn.to/3ICvFaa |