【感想】小説『容疑者Xの献身』東野圭吾【不器用な男の純愛ストーリー】

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第134回直木賞受賞作品でもある『容疑者Xの献身』は、それ以外にも第6回本格ミステリ賞などを受賞しています。エドガー賞(アメリカ)にもノミネートされ、累計発行部数は200万部を突破!東野圭吾さんの代表作という声もあり、日本のみならず、中国などでも高い評価を受けています。

小説も、映画も大ヒットを記録した本作は、不器用な男の純愛を描いた作品です。本作を読めば、とても深い愛情と悲しみを味わうことができるでしょう。映画情報も併せて紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

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【容疑者Xの献身】概要・あらすじ

天才数学者による隠ぺい工作

高校教師(数学)をしている石神哲哉は、毎朝『べんてん亭』で弁当を買っていました。その目的は店員・花岡靖子に会うためで、2人はアパートの隣人同士でもあったのです。

靖子は離婚歴のある元ホステスで、中学生の一人娘・美里がいます。経済的には少し苦しいものの、ようやく平穏な生活を手に入れていました

ただ、元夫・富樫慎二がお金をたかるために現われたことをきっかけに、最終的に殺人事件にまで発展してしまいます。靖子と美里が殺してしまったのです。炬燵のコードによる窒息死。

物音で気づいた隣人・石神は隠ぺいに協力することにしました。天才とも評される論理的な思考により、警察を欺くことにも成功しましたが、一体どうやってバレずに隠ぺいしたのか。

主な登場人物

  • 湯川学:天才物理学者
  • 石神哲哉:高校教師。天才数学者
  • 花岡靖子:弁当屋で働く元ホステス
  • 富樫慎二:靖子の元夫

著者情報(東野圭吾)

小説家。1958年2月生まれ。大阪府出身。1985年に『放課後』でデビュー。

【容疑者Xの献身】実際に小説を読んだ感想

実際に『容疑者Xの献身』を読んだ感想を紹介していきます(ネタバレなし)。

不器用な男の「自己犠牲」

想いを寄せる女性とうまく会話できない石神に対して、少なくとも器用なイメージを抱くことはないでしょう。

ただ、何とかして好きな女性を助けたいという気持ちから、真相を隠すために頭を働かせます。唯一の武器ともいえる天才的な思考力を使い、どうにかして靖子と美里を守ろうとします。

もっといえば、とてつもない犠牲を払ったのです。靖子と美里も知らなかった、警察も見抜くことができなかった緻密な計画の裏には、石神が人知れずに行った努力というか、大きな犠牲がありました。

真実を見抜いた湯川でさえも、大学時代の友人・石神が多大な犠牲を払っていることを知ったからか、そう気安く警察に通報することができませんでした

その数学者が、弁当屋に勤めるアパートの隣人の花岡靖子に恋をするわけです。思いがけなく靖子が前夫を殺害してしまったことを知り、彼女を手助けしようとする。最初に『シラノ・ド・ベルジュラック』みたいなものを書きたいとおっしゃっていて。

東野 やっぱり多くの男って、あ、この恋は伝わらないなと思ったときに、それでも相手の女性に好きな男がいるなり、幸せになる道が自分に関係ないところにあるとしたら、自分が犠牲になってでも叶えてやりたいという、お人好しなところがあるんですよね。

──男性全般がですか。東野さんがそうだというわけじゃなくて。

東野 いや、みんなそうですよ。そういう気持ちは多少はありますよ。石神のレベルまでできるかどうかはわからないですけど。単なる騎士道精神じゃなくて、男が遺伝子として持っている部分じゃないかと思います。だっていろいろな生物を見ても、動物を見ても、オスは自分が犠牲になってでも子孫を残そうとする習性があるじゃないですか。だから人間の中にもその遺伝子が残っていると思うんですよね。

引用元:正統派ミステリーとしては僕の最高傑作です(文藝春秋)

靖子には結婚も考えている男(工藤)がいるのを知った上で、石神は犠牲を払って救おうとしました。彼の愛情は、ただ単に靖子と恋仲になりたい、靖子と結婚したいという感覚ではなかったのです。

『工藤邦明氏は誠実で信用できる人物だと思われます。彼と結ばれることは、貴女と美里さんが幸せになる確率を高めるでしょう。私のことはすべて忘れてください。(中略)貴女が幸せにならなければ、私の行為はすべて無駄になるのですから。』

ちなみに、『シラノ・ド・ベルジュラック』は美男とはいえない男が恋心を抱きながらも、自分の好きな女性と色男のキューピット役として尽力するという物語です。

健気に生きることの大切さ

部屋の柱に太い釘を打ち、そこに1本のロープをかけました。ぎゅっと体重をかけても平気でした。石神は自殺しようとしていたのです。

数学しか取り柄のない自分が、その道を進まないのであれば、もはや自分に存在価値はないとさえ思った。毎日、死ぬことばかりを考えていた。自分が死んでも誰も悲しまず、困らず、それどころか、死んだことにさえ誰も気づかないのではないかと思われた。

ところが、そのときにチャイムが鳴りました。ドアを開けると、靖子と美里が立っています。隣に引っ越してきた住民として、石神に挨拶しにきたのです。

そこで初めて美しさに感動を覚え、彼女らの綺麗な瞳に目を奪われました。ここから、石神の人生は大きく変わっていきます

人は時に、健気に生きているだけで、誰かを救っていることがある。

石神にとって、あの事件で母娘を助けようとしたのは、ある意味で当然だったのです。ちなみに、健気は心がけがよく、しっかりとしていることを意味します。

「愛」と「犯罪」が絡み合った物語

時代を超えて読み継がれている作品のテーマは愛か、犯罪であることが多いといわれたりしますが、本作は愛と犯罪が絡み合ったストーリーになっていますね。しかも、犯罪が完璧であればあるほど、どこか愛の深さも感じてしまうという物語!

ミステリー小説が好きな人はもちろんのこと、恋愛小説を読みたい人にもおすすめすることができますね。

【容疑者Xの献身】こんな人におすすめ!

特に『容疑者Xの献身』をおすすめする人の特徴を紹介していきます。

いま好きな人がいる

本作はミステリー小説とも、恋愛小説ともいえるストーリーになっています。もしいま好きな人がいるのであれば、その人に対して、どれだけのことができるかを考えるきっかけにもなるでしょう。ほとんど恋をしてこなかったであろう石神から、本当の恋愛を教わったような気もしましたね。

純愛ストーリーを楽しみたい

恋愛小説を読みたいという人の中でも、特に純愛を描いたストーリーを楽しみたい人におすすめです。初恋を描いているわけでも、主人公が学生というわけでもありませんが、ディープな純愛小説というか、大人でも楽しめる純愛ストーリーになっていますね。

【容疑者Xの献身】映画情報

圧巻のラストシーンも魅力!

映画『容疑者Xの献身』は2008年に公開され、興行収入は30億円を突破しています。大まかな流れは小説と大きく変わりませんが、中には映画でしか見られないシーンも!特に、ラストに関しては小説よりも胸に迫るところがありましたね。

キャスト

  • 湯川学:福山雅治さん
  • 内海薫:柴咲コウさん
  • 草薙俊平:北村一輝さん
  • 石神哲哉:堤真一さん
  • 花岡靖子:松雪泰子さん
  • 花岡美里:金澤美穂さん
  • 富樫慎二:長塚圭史さん
  • 工藤邦明:ダンカンさん
  • 栗林宏美:渡辺いっけいさん
  • 弓削志郎:品川祐さん
  • 城ノ内桜子:真矢みきさん

まとめ

小説も、映画もヒットを記録した『容疑者Xの献身』は、不器用な男の純愛を描いた作品です。日本のみならず、中国や韓国などでも高い評価を受けています。ミステリー好きはもちろんのこと、恋愛小説を読みたい人にもおすすめですね。

この記事を書いた人
エラシコ

WEBライター。1994年神奈川県生まれ。趣味:読書/サッカー/映画鑑賞。好きな作家:東野圭吾/アガサ・クリスティー/ヘミングウェイ。好きな芸人:千鳥/オードリー/ダウンタウン。現地でクラシコを見るのが夢。

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