【感想】『クスノキの番人』東野圭吾【祈念に訪れる人々とは?】

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東野圭吾さんの『クスノキの番人』は日本での発売と同時期に、中国語簡体字版や中国語繁体字版、韓国語版も刊行されています。発売地域は、中国や韓国、シンガポール、マレーシアなど。

『秘密』や『時生』、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』に続く新たな代表作として、日本のみならず、海外のファンからも注目されています。

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【クスノキの番人】概要・あらすじ

不当な理由によって職場を解雇された直井玲斗は、その腹いせに窃盗目的で侵入したところ、警察に逮捕されてしまいます。

刑務所に行くのかと思いきや、彼の元に訪れた弁護士が依頼人の命令に従うなら釈放するといいます。ちなみに、依頼主はほとんど交流のなかった伯母・柳澤千舟。

釈放後、彼に任されたのは「クスノキの番人」。月郷つきさと神社にあるクスノキは「その木に祈れば、願いが叶う」といわれていて、多くの人が祈念に訪れていました

千舟が詳しい事情を教えなかったのもあり、玲斗はよく分からないまま番人をしていました。ただ、祈念に訪れる人とのやりとりを通して、徐々にクスノキの秘密に近づいていくのです。

主な登場人物

  • 直井玲斗:クスノキの番人を任された青年
  • 柳澤千舟:玲斗の伯母。ホテルを経営する名家・柳澤家の一人

著者情報(東野圭吾)

小説家。1958年2月生まれ。大阪府出身。1985年に『放課後』でデビュー。

【クスノキの番人】実際に小説を読んだ感想

実際に『クスノキの番人』を読んだ感想を紹介していきます(ネタバレなし)。

「言葉」にも限界がある

本作は祈念がキーポイントになるのですが、そもそも祈念とは、

強く念じ、祈ること。「祈願」とも言う。黙って静かに祈念することを「黙祷」という。

引用元:祈念(きねん)とは何?(Weblio辞書)

つまり、多くの人がクスノキに強く念じて祈りに来ていたということ。「祈り」に近い意味合いだとは思いますが、強く念じるという点において、「祈り」よりも想いの強さを感じますね。

もちろん仕事での成功などにも使われますが、本作に登場する人物は単純な成功というよりも、言葉では表現しづらい想いを念じています

クスノキに訪れる人たちは複雑な事情を抱えている分、そう簡単に言葉にできない複雑な想いを抱えているのです。

本作を通して、小説家(表現者)の東野圭吾さんが「言葉にも限界はある」と仰っているようにも感じましたね。ただ、たとえ言葉にできなくても伝えることはできるのだ、とも!

【余談】「祈念」と「祈願」の違い

「祈念」の類義語として、「祈願」という言葉があります。

どちらとも「(神仏などに)祈る」という点では同じなのですが、「祈願」のほうが宗教色が強いといわれています。

どこかリアルにありそうな「ファンタジー」

本作はリアルとファンタジーの間というか、ファンタジー要素を含んだリアル感の強い小説とも、リアリティー溢れるファンタジー小説ともいえるか、と。

東野圭吾作品の初期は古典的なトリックを使ったミステリーが多く、徐々に社会問題も扱ったシリアスなストーリーに変わっていき、最近はファンタジーに近い作品も増えてきたなあという印象。

それはさておき、本作はファンタジー小説ともいえる作品ですが、非常に近い存在であるからこそ、逆に人間関係が難しくなるという、リアルな世界でもありそうな悩みが出てきます。

本作を読むと、人によっては日頃から考えないようにしていた、あるいは頭の片隅にはいるけど、どうすることもできない相手について考えさせられるような気がしますね。

主人公・玲斗の成長が微笑ましい

お客様に欠陥商品があることを話したがゆえに、主人公・玲斗は職場を解雇されてしまいます。その腹いせに行った窃盗で、結局警察に逮捕されることにも…。

もちろん不当に解雇されて苛立つのは分かりますが、その腹いせに窃盗しようとしてしまうところに、彼の性格が少し表れているような気もしますね。

また、お客様に欠陥商品について話したり、少し想いを寄せた女性の頼みを受け、クスノキに盗聴器をしかけたり(=NG行為)するのは分かりやすいというか、どこか憎めないところもあります

良くも悪くも、最初は将来について深く考えずに感情のままに生きている青年という印象を受けましたが、最後は普通の人にはできないような行動に出ていて、純粋にカッコいいなあと感じましたね。

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【クスノキの番人】こんな人におすすめ!

特に『クスノキの番人』をおすすめする人の特徴を紹介していきます。

ほっこりとする物語が好き

本作はハラハラ・ドキドキさせられるストーリーというよりも、終始落ち着いたトーンで展開されていきます。誰かが殺されるわけでもなく、読後もほっこりとした気分になりますね。

まとめ

「その木に祈れば、願いが叶う」というファンタジーさに、非常に近い存在であるからこそ、逆に人間関係が難しくなるというリアルな悩みも合わさった『クスノキの番人』。読後はほっこりとした気分になるとともに、いろいろと考えさせられるところもありましたね。

この記事を書いた人
エラシコ

WEBライター。1994年神奈川県生まれ。趣味:読書/サッカー/映画鑑賞。好きな作家:東野圭吾/アガサ・クリスティー/ヘミングウェイ。好きな芸人:千鳥/オードリー/ダウンタウン。現地でクラシコを見るのが夢。

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